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隈研吾氏×大成建設グループ左から 大成建設ハウジング 立川洋之社長、隈研吾氏、大成建設 相川善郎社長

TALK【3者対談】

隈研吾氏×
大成建設グループ対談
「モクコンの家」誕生秘話

建築家 隈研吾氏と大成建設株式会社 相川善郎社長、大成建設ハウジング株式会社 立川洋之社長の3者によるトップ対談が実現。「モクコンの家」誕生のきっかけや、これからの時代の住まいづくりについて語っていただきました。

— 「モクコンの家」が生まれたきっかけを教えてください。

大成建設グループが誇る『強さ』と、隈研吾氏による木を使用したデザインの『心地良さ』が融合。新時代の住宅モデルに

モクコンの家

大成建設 相川社⻑

大成建設ハウジングが手掛けるコンクリート住宅「パルコン」は、強さに絶対的な自信があります。その強さに、隈先生が表現される豊かなデザインと心地よさや時代に合ったスタイルを融合させるアイデアを思いつきました。「新時代の住宅モデル」の提供につながると考え、隈先生にコラボレーションをお願いしたのが経緯です。

大成建設ハウジング 立川社⻑

「パルコン」には50年以上の長い歴史があり、「大成建設グループの技術を結集させた住宅」です。地震や台風などの多くの災害に対して、住まわれているご家族や財産をしっかりと守ってきた実績があります。

隈研吾氏

「コンクリートと木」は性質がまったく異なりますが、強さと柔らかさの融合を象徴する意味では、素晴らしいプロジェクトになると直感的に思いました。「モクコン」は「木」を意味する「モク」と「コンクリート」の「コン」から名づけました。

— インタビューの場所である国立競技場も、隈先生がデザインに携わり、大成建設グループが施工を担当しました。東京オリンピック・パラリンピックをはじめとした多くの感動が、この場所に来ると蘇ってきます。

国立競技場建設の経験が、「モクコンの家」のベースとなりました

国立競技場建設

大成建設 相川社⻑

国立競技場は「杜のスタジアム」とも呼ばれていますが、自然や木の温もりをいかに感じてもらえるかが、1つのテーマでした。「モクコンの家」も国立競技場と通じるものがあります。実は、私が最初に隈先生に「モクコンの家」をオファーしたのは、国立競技場施工中のタイミングでした。念願かなって2023年の3月に「モクコンの家」の発売をスタートできたので、非常にうれしく思っています。

隈研吾氏

私の建築物の特徴の1つとして、「大和張り」があります。この国立競技場の貴賓室の天井にもあしらわれているのですが、木を互い違いに組む構造のことです。大和地方を発祥とする伝統的な日本のディテールであり、陰影を生むことで空間に立体感をもたらします。

大成建設ハウジング 立川社⻑

「モクコンの家」では、2つのモデルプランをデザインしていただきました。1つは、2階建て住宅「ノキテラス」。もう1つが3階建て住宅「ハコテラス」です。

隈研吾氏

どちらのモデルもテラススペースを広く設けています。コロナ禍で「密な空間」という言葉が生まれましたが、それをきっかけに気持ち良い風の通る空間の価値が見直されました。室内空間に加えて、半屋外の空間の充実にもかなりこだわりました。

ハコテラス

国立競技場に採用されている大和張りは、
「モクコンの家」にも採用されています。

— 隈先生が重視された空間として、「ミュージアム」があります。博物館を意味するミュージアムを、家の中に設けた意味を教えてください。

新しいライフスタイルの中で、自分を発信できる場所が必要だと考えました

隈研吾氏

隈研吾氏

単なるリビングルームとは異なり、もう少し社会に開かれた、可能性のある場所——。それが「ミュージアム」という空間です。人々がその場所に訪れ、ホームパーティーをすることもあれば、会議をすることもあるでしょう。自分のサロンとして使ってもいいですし、多種多様な社会との接点になりうると期待しています。

自分の好む文化を誇れる展示スペースとしても活用できます。大事なコレクション、あるいは素敵な本。そういう大切にしている趣味や文化をこのミュージアムから発信する——いわばエキシビションができる場所なのです。

大成建設ハウジング 立川社⻑

大成建設ハウジング 立川社⻑

昔ならそういう部屋は「書斎」という名前で、お父さんが仕事をする神聖なエリアだった印象があります。現在は自宅でWeb会議をするのも当たり前になり、自宅にいても遠隔での会話からいろいろな人とつながれるという意味でも、より開放的なスペースが求められているのではないでしょうか。

大成建設 相川社⻑

大成建設 相川社⻑

コロナ禍によって、ワークとライフがより融合したと感じます。ミュージアムに私が期待しているのは、建物に生活を制約されるのではなくて、あくまでもその人にとって最適な生活スタイルに合わせて建物をつくることです。暮らしに合わせて建物の用途が変容していく——そうした考えが今後は重要になるでしょう。

— 住宅におけるサスティナブルについてのお考えも聞かせてください。

持続可能であることは、家にとって一番大事なことです

対談の様子

隈研吾氏

安心して長く暮らすためには、空間にゆとりがあってフレキシビリティが高いことが重要になります。「モクコンの家」はそれを可能にします。

狭義におけるサスティナビリティは、どんな材料を使っているかが注目されるでしょう。例えば、地球温暖化が叫ばれる中で、サスティナブルな材料として重宝される木をたくさん使用していますので、SDGsを考えるうえでも誇れる家ではないでしょうか。

大成建設 相川社⻑

大成建設グループでは、グループビジョンとして「人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する」ことを目指しています。しかし、長く住まうためには「レジリエント」だけでは十分ではありません。木という日本人の文化を住宅に取り入れることで、「レジリエント」と「サスティナビリティ」の融合が実現すると考えています。

大成建設ハウジング 立川社⻑

近年は「サスティナブル」「レジリエント」「カーボンニュートラル」など、さまざまな言葉が注目されています。さらに、コロナ禍を契機にライフスタイルが変わりました。社会の求めるものに対して、強いコンクリート住宅をベースにいろいろな変化が楽しめるフレキシブルな住宅を提供していかなければならないと考えています。

— 最後に、隈先生から大成建設グループの今後について一言お願いします。

大成建設グループは、時代の最先端を追求し続ける企業です

対談の様子

隈研吾氏

大成建設さんと言えば、国立競技場のような大きな建造物に関わる企業というイメージがあるかと思います。一方で、大成建設ハウジングさんが関わる住宅のような繊細な空間、人間の住まう空間に関しての研究も熱心にされています。企業として常に時代の先端を追求していることを、この住宅を見たら分かっていただけるはずです。新しい時代を象徴する「モクコンの家」で、多くの人に大成建設グループの凄さを実感していただきたいと思います。

久下真以子

インタビュアー・ライター 久下真以子(くげまいこ)

大阪府出身。フリーアナウンサー、スポーツライター。四国放送アナウンサー、NHK高知・札幌キャスターを経て、フリーへ。2011年に番組でパラスポーツを取材したことがきっかけで、パラの道を志すように。キャッチコピーは「日本一パラを語れるアナウンサー」。